A03 超適応を促す身体認知・情動機構の解明

研究概要

imamizu
A03 研究代表者
今水 寛

本研究項目では、身体認知と情動が「超適応」すなわち「身体構造が変わるような困難な状況での運動学習」を促進する神経過程を明らかにする。経験的に、意欲などの正の情動は、困難な学習を進めるための駆動力となる。また、”まさに自分が運動を行っている”という運動主体感(身体認知の一種)は、運動誤差の原因を自分に帰属し、誤差に基づく運動の修正を適切に行うために必要不可欠である。しかし、身体認知や情動が学習を促進する神経過程と理論的枠組みは未解明である。

以下のように研究を進める予定である。第一段階では、運動学習中の脳活動から、身体認知や意欲の状態を推定する技術を開発する。身体認知については、運動主体感を運動学習中の人の脳活動から推定する方法を開発する。意欲については、サルの空腹状態を制御し、運動学習中の行動解析から、意欲を推定する方法を開発する。第二段階では、運動主体感と意欲を推定しながら、ヒト・サルで運動学習課題を行う。得られたデータから、運動主体感、意欲、身体運動に関わる脳のネットワークの関係がどのように変化するかを調べる。さらに、ネットワーク間の関係を、B03項目と共同で数理モデル化し、運動学習に影響を与える脳領域を特定する。第三に、特定された脳領域に対して、非侵襲的な脳刺激・ニューロフィードバック技術を用い、介入操作を行う。これにより、運動学習の効率が変化するかを検証する。

以上の研究成果は、運動学習理論で見過ごされてきた、認知・情動状態が、運動学習に与えるメカニズムを解明することが期待される。また、加齢や事故による身体機能の障害・低下を克服するときに必要な、脳の超適応力を促進する技術の開発に貢献することを目指す。

研究組織

研究代表者 今水 寛 東京大学 大学院人文社会系研究科 教授
研究分担者 筒井 健一郎 東北大学 大学院生命科学研究科 教授
研究協力者 大畑 龍 東京大学 大学院人文社会系研究科 研究員
弘光 健太郎 東京大学 大学院人文社会系研究科 研究員
浅井 智久 国際電気通信基礎技術研究所 認知機構研究所 研究員
門田 宏 高知工科大学総合研究所 脳コミュニケーション研究センター 准教授
今泉 修 お茶の水女子大学 人間発達教育科学研究所 助教
中村 晋也 東北大学 大学院生命科学研究科 助教
大原 慎也 東北大学 大学院生命科学研究科 助教
細川 貴之 川崎医療福祉大学 医療技術学部 准教授