B01 生体構造の再構成に関わる潜在回路に基づく超適応メカニズムのモデル化

研究概要

kondo
B01 研究代表者
近藤 敏之

本研究項目では、主に生体構造の再構成の観点から、広汎な脱抑制による脳の超適応機構をモデル化することに取り組む。脳のように大規模かつ複雑なネットワークシステムの適応過程を明らかにするためには、現象を必要最小限の自由度でモデル化し、計算機シミュレーションによりモデルの挙動を検証する構成論的研究手法が有用であり、これにより生理学的理解の深化が期待される。

本項目では、(1)A01・A02項目から提供されるサルや人の脳活動・筋活動・行動などの長期マルチモーダルデータに確率的潜在変数モデルを適用することで、データの背後にある生理学的構造を解釈・可視化することを試みる。また、皮質脳波から脳内の広汎な脱抑制構造の長期的変容を定量化するため、脳波と筋電図を統合した同時解析手法を確立する。(2)若年者と高齢者で様相が異なる機能的抑制の減退メカニズムを解明するため、運動・認知間リソース配分などの臨床医学に基づく知見に加え、リソース制限や抑制強度などの未知パラメータを仮設することで脳内ネットワークのグレイボックスモデルを構成する。この脳内ネットワークモデルと筋骨格系モデルを統合して姿勢制御シミュレータをB04項目と協調して構築する。人を対象とした姿勢制御実験の結果と比較することで、モデルの未知パラメータを推定する。(3)VR・ロボット技術を用いて脳と身体の関係を任意に変更可能な実験系を構築し、これを用いて健常若年者、高齢者を対象とした協調運動学習実験を行い、生体構造の再構成を促進する運動課題をA01と共同して開発する。これらの結果を総合することで、障害・疾患からの回復過程における生体構造の再構成を推定する超適応モデルを実現し、効果的な治療・訓練のための知見を得ることを目的とする。

研究組織

研究代表者 近藤 敏之 東京農工大学 大学院工学研究院 教授
研究分担者 千葉 龍介 信州大学 大学院総合理工学研究科 教授
宮下 恵 東京農工大学 大学院工学研究院 助教
研究協力者 伊藤 宏司 東京工業大学 名誉教授
矢野 史朗 東京農工大学 工学研究院 客員准教授
須藤 珠美 東京農工大学 大学院工学研究院 特任助教
林 叔克 レディング大学 准教授
稲邑 哲也 国立情報学研究所 准教授
金子 文成 慶應義塾大学 医学部 特任准教授