B04 姿勢制御における神経伝達物質の作用を考慮した超適応モデリング

研究概要

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B04 研究代表者
太田 順

本研究項目では、主に超適応機構の行動遂行則の再編成の観点から、以下の仮説の検証を目指す。「ドーパミン(Dopamine; DA)等、神経変性疾患等において減少する神経伝達物質が、脳領域の活動量・神経回路間の結合強度を調節し、マルチタスク機能を制御する。」
ここで、マルチタスク機能とは、複数の作業を円滑に同時並列的に実行する機能を意味する。その達成のため、A04研究項目・他のB系研究項目等との連携により、姿勢制御における神経伝達物質の役割を考慮した数理モデル構築を行う。以下の3項目に取り組む。1) 神経伝達物質の姿勢制御における役割の検証。パーキンソン病などの神経変性疾患患者では、マルチタスクの遂行に必要な機能が障害され、その背景には神経細胞の変性や神経伝達物質の異常が存在すると考えられている。そこでパーキンソン病で変化する神経伝達物質に着目し、マルチタスクの遂行における神経伝達物質の役割を検証する。2) 姿勢制御における神経伝達物質の役割を考慮したマルチタスク表現モデルの開発。神経伝達物質というミクロな情報と、その情報処理後の結果として現れる行動-生理反応というマクロな情報の統合を目指す。「マルチタスクの数理モデル」を開発する。3) 構築した数理モデルの検証。生体より得られたデータを用いて構築した「マルチタスクの数理モデル」の検証を行う。

具体的には、以下の3点について研究を進める。1) マルチタスク遂行能力の評価法の確立。マルチタスクとして認知負荷下での姿勢制御を想定する。健常者と患者でのマルチタスク遂行能力の評価方法を確立する。マルチタスクの設計、および課題中の生理反応の計測プロトコルを樹立する。2) マルチレイヤ脳活動-身体統合モデルの開発。(a)脳活動ダイナミクスモデル、(b)感覚・運動制御系モデル、(c)身体筋骨格モデルの適切な接続によるモデル構築を目指す。3) モデルの検証 1)のデータを 2)のモデルに組み入れ、モデル検証を行う。
上記研究の遂行により「神経伝達物質を考慮した行動遂行則の変容メカニズムの数理モデル構築」を目指す。ここで提案したモデルは、マルチタスクリハビリテーションの治療戦略の基盤となることが期待できる。

研究組織

 

研究代表者 太田 順 東京大学 大学院工学系研究科 教授
研究分担者 四津 有人 茨城県立医療大学 医科学センター 准教授
研究協力者 白藤 翔平 東京大学 大学院工学系研究科 助教
上西 康平 東京大学 大学院工学系研究科 特任研究員
尾村 優一郎 東京大学 大学院工学系研究科 修士課程学生
石井 大典 茨城県立医療大学 医科学センター 助教